リハテン

大阪で働く作業療法士。リハビリ関連の知識・書籍の紹介など、思いつくことをアウトプットしてリハビリの天才になることを目指します

書籍レビューNo.1 「機能・活動・参加とQOLを高めるリハビリテーション薬剤」

 最初のレビューは

「機能・活動・参加とQOLを高めるリハビリテーション薬剤」

編集代表:若林 秀隆 先生 出版社:じほう  

                           です

読みやすさ★★★★⭐︎

おススメ度★★★★☆

 

「若林 秀隆先生について」

日本でリハビリテーション栄養という言葉・概念を広げた第一人者で、

これまでもたくさんリハビリ栄養に関する本を執筆されてます。

日本リハビリテーション栄養学会や日本サルコペニア・フレイル学会など様々なところで理事をされていて、この業界では有名人です。

 

<書籍レビュー>

 最近はフレイルやサルコペニアといった概念が健康番組やワイドショーなどでも取り上げられ、一般に広がってきました。主観ですが、一応薬剤に関しても記載はありましたが、いままで「リハビリ栄養」が中心。

 特に自分はリハビリ職なので、余計に運動・栄養といった部分に目をむけて、他のことは他職種に任せっぱなしでした。

 

でも、

・「食欲がない」なくてご飯が全然食べられてません・・・とか

・ずっと「下痢」をしてて、動くのも嫌がって全然リハビリできない・・・とか

・夜眠れなくて、いざリハビリしようとするときには寝てる・・・とか

 

色々なことがあってリハビリが進まないといったことは日常茶飯事。

 

でも、リハビリはしないと廃用も進むし、リハビリしないと○○がとれないし。

ただ「患者さんのやる気がない」「リハビリ意欲がない」で終わらせてしまうのも問題がありますよね。

 

この本には、臨床現場でよくみる

「ふらつき・転倒」

「パーキンソン症状」

意識障害・認知機能障害」

「せん妄」

「食欲低下」

といった症状を引き起こす薬剤についてもいろいろと記載されてます。

 

 

また入院している人は当たり前ですけど「病人」なので、

腎臓・心臓・肝臓・肺・糖尿・血管の問題・脳梗塞脳出血など

一つないし複数の内部障害をもっているのが当たり前。

複数の薬を飲んでる人がほとんど。

「ポリファーマシー」といったリスクにもつながります。

 

 あくまで、自分はセラピストなので薬剤に関して何かできるわけでありません。

 

でも「この薬飲んでるんだ」とか「この薬飲んでたらこんなリスクがあるな」

など病棟での生活場面(転倒とか生活リズム・誤嚥リスク)などについて

看護師さんと相談したり、主治医の先生とか薬剤師の人に聞いたりできるようになりました。

 

 

 

自分が体験した悲しいエピソードがあります。

 

とある高齢の男性患者さんで入院途中からご飯をほとんど食べなくなってきた方がいました。

 

本人によると

「食欲がない・・」「食べたくない」

 

といった返事ばかり。

 

どんどん体重が減っていったので、栄養補助食品などを提供する・家族の方に好きなものを持ってきてもらったりしましたが、なかなか改善しませんでした。

 

色々調べてみると

その方が飲んでいる薬の副作用に「食欲低下」の文字が・・・。

これだ!と思ってDrに提案したのですが・・・

受け入れてもらえず・・・。

とても悔しかったです。

 

 

こんな体験を他の患者さんがしないように

全てのリハスタッフがこの本を読んで、

他職種連携の第一歩を踏み出してほしいと思います。